「さっさとしろ。落とすなよ」

「あ、うん……」


私が隣に並ぶとまた歩き始めた恵衣くん。私たちの間に会話は無い。

少し気まずい空気を感じながらも、明らかに半分では無い量のノートに少し戸惑う。私を気遣ったのか、たまたまそうなっただけなのか。


確かめるすべはなく、結果前者だと判断して「ありがとう」とお礼を伝える。

帰ってきたのは「お前頭大丈夫か」と言う冷たい言葉で、バレないようにため息をついた。


分かってきたように思えたけれど、やっぱり恵衣くんのことはよく分からない。