慶賀くん達が目を見開いて顔を合わせる。
「なんか、あの来光が覚醒してる……」
「あの来光が逞しい……」
「だからどの来光だよ!!」
「まぁまぁ」
そう宥めながら手を差し出した嘉正くん。その手を取ると顔を顰めて立ち上がった。
禰宜たちの顔を覗き込む。真っ白だった頬に赤みが戻っている。呼吸もかなり楽になったようだ。
権宮司は気を失ったままだけれど、禰宜が僅かに目を開く。小さく口を動かしたのが分かり、私たちは慌てて周りを囲んだ。
「応援、は」
「あと15分くらいで宮司と志らくさんが来ます。本庁にも連絡は届いているはずだから、ほかの神職も駆け付けてくれるはずです」
「それでは、間に合いません」
苦しげに息を吐いた禰宜。
みんなの表情が曇る。
「呪者が中に────三好正信が、まだ校舎内に、います」
ハッと息を飲む声が隣から聞こえた。
弾けるように振り返った来光くんが目を大きくして校舎を見上げる。
ノブくんが、まだあの中に。
禰宜たちのこの状態からして、間違いなく今の校舎内は安全ではない。どこかに隠れていたとしても時間の問題だろう。
「監督者として……あなた達の一時的な保護者として、今から私が言う事は、間違っていることでしょう」
禰宜がゆっくりと体を起こす。その背中を支えた。