けれど落下速度に間に合わず、投げ出された二つの白いそれは校舎横の植木の上へ落ちた。
「禰宜……ッ! 権宮司!」
来光くんがそう叫び、やっとその白い影が二人であることに気付いた。驚きで息が止まる。
幸いなことに植え込みがクッションになったらしい。二人はその上に倒れていた。私たちはすぐに駆け寄ると協力して二人を植え込みから引っ張り出す。
権宮司は完全に気を失っている。禰宜が僅かに呻き声を漏らした。瞼が震えて目を開ける。焦点の合わない目が私たちを映した。
「なぜ、君たちが」
苦しげに咳き込んだ禰宜は体を起こそうと手を付く。しかし上手く力が入らないのまた倒れ込んだ。
その拍子に白衣の袖がめくれ上がった。壊死してしまったかのようなどす黒い腕に言葉を失う。
恵衣くんが険しい顔で禰宜の袖をたくしあげた。指先から肩にかけて、もう正常な色は残っていなかった。
「逃げ、なさい……ッ! あれは、ただの呪いじゃ、ありません……!」
目を開いているのも辛いのか、瞼を閉じて息絶え絶えにそう言う。
「分かってます。僕達もそれに気付いて、お二人に伝えたくて来たんです」
そう言いながら淡々と白衣を脱がせていく来光くん。恵衣くんも権宮司の腕を袖から引き抜いているところだった。