私達は激しく吹き出ていく残穢を見上げて顔を顰めた。

今すぐこの結界を修繕しないと、どんどん残穢が溢れ出す。この量の残穢が街へ流れ込めば被害は甚大だ。

でも結界の張り方なんてまだ習っていない。一体どうすれば……。

来光くんがギュッと拳をきつく握ると私を見た。


「僕が書宿の明で────」

「俺が……やる! 邪魔だ下がってろッ……!」


そう言うと来光くんの肩を掴んで後ろへ突き飛ばす。な、と来光くんが目を見開く。


「まだそんな事言ってんの!? 勝手に飛び込んで倒れそうになって僕らに迷惑かけてるやつが何言ってんのさ!」

「うるさい黙れ! 俺より劣ってる癖に出しゃばるな! じゃあお前ならどうにか出来るのか!?」

「出来るよッ! 不本意だけど……お前と協力すればね!」


恵衣くんが顔を歪めて来光くんを睨んだが、凄む前にその顔は驚愕に変わる。来光くんが胸ぐらに掴みかかったからだ。

その勢いのまま強烈な頭突きが炸裂した。鈍い音が響き思わず息を潜める。


「いい加減にしろッ!」


来光くんの声に芯が通った。


「もう子供じゃないんだから、妥協とか協力とか少しは覚えたら!? 何でも俺が俺がって……自分が一番じゃないと気が済まないのかよッ! 出来ないことがあるのがそんなに恥ずかしいか!? まだ出来なくて当たり前だつーの! お前まだ生後16年だろうが!」