全員で勢いよく駆け込んだ社務所はがらんとしていて、宮司も志らくさんの姿もない。

壁にかけられた予定表の黒板を見ると、丁度ご祈祷の予約が入っていた。ということは千江さんもそちらを手伝っている。巫女助勤の二人は今日は非番だ。


「権宮司と禰宜に連絡は!?」


焦った様子でそう聞いた来光くんに、電話をかけていた恵衣くんが眉根を寄せて首を振る。


「落ち着きな来光。何かあったら二人から連絡が来るはずだ。連絡が無いってことはまだ何も起きてないってことだよ」

「でも早くこの事を伝えないと……ッ」

「一旦メッセージで送ろう。電話に出られない状況なだけかもしれない」


そう言った嘉正くんに恵衣くんが「ハッ」と鼻で笑った。


「電話に出れない状況でメッセージか読めると思うか?」


そう言って社務所の扉を開けて外に出る。


「恵衣くんどこ行くの……!」


スタスタと歩き出した背中を慌てて追いかけながら叫ぶ。


「直接行って伝える」

「え……えッ、直接?」


思わずそう聞き返す。

すると後ろから「僕も行く」という声が聞こえて、来光くんが前に出た。