恵衣くんはパラパラとページをめくると、とある箇所で手を止め指を指した。

指をさした先には太字で「怨敵を呪殺させる秘法」と太字で書かれていた。

呪殺、という単語に眉を顰める。私たちの世界では嫌煙されている言葉だ。

丸数字でその方法を順序だてて説明しており、ざっと目を通しただけでも直ぐに内容は理解できた。用意できないものがある場合の代わりになるものまでご丁寧に記されていて、今すぐにでも実行出来そうな気がする。


「能力者ではなくとも、決められたこの手順を踏むことで強い呪いを発生させることが出来る」

「なるほど……ノブくんはどこかで呪詛の知識を手に入れてそれを実行した可能性が高い、と」

「ああ。ただそれだけじゃ絞り込むには情報が少な過ぎる。絞り込むためにも三好正信が使用した媒介を見つけたい」

「校舎をざっと見て回って目につくようなものが無かったから、恐らく手のひらサイズかそれより小さいものじゃないかな」

「だとしたら皿や筆なんかの骨董品、人毛、動物の皮や骨……生きた小動物や虫も可能か」


あれだけいがみ合っていたのに、急に真剣な顔で話し込み始めた二人。

因縁の相手ではあるけれど、もしかして相性はなかなかいい方なんじゃないだろうかなんて推測する。