「何?」

「別に。考えが浅いと思っただけだ」

「言いたいことがあるならはっきり言えばいいだろ! 言うつもりないなら気が散るからどっか行ってくんないかな!?」

「先にここにいたのは俺だ。集中できないらお前の方が場所を変えろ」


カンッとまた喧嘩の鐘が鳴り響き「待って待って待って」と二人の間に割って入る。

何ですぐに喧嘩腰になるかなこの二人は。


「同じ事調べてるんだから意見交換し合おうよ。三人寄ればって言うし、ね?」

「俺以外の二人の知恵は二人分として換算出来るとは思わないが」


流石にカチンと来たけれどここで私が言い返せばまた喧嘩になる。ぐっと堪えて深く息を吐く。

ほんとにこの人はどうしてそんな言い方しか出来ないんだろうか……。


「……で、僕の考えのどこが浅いんだよ」


私と同じように一旦怒りを飲み込んだらしい来光くんが不貞腐れた顔のまま尋ねる。


「被呪者を思い出せ。学生間で流行る呪いの類なら、教職員は呪いの対象から外れるはずだ」


目を見開いた来光くん。

言われてみれば確かにそうだ。こっくりさんや花子さんは学校で流行るけれど、一種の遊びみたいなもの。学生がそれをするのは理解できるけれど、先生たちがするとは思えない。