二人はわざとらしいため息をつくと、お互いがお互いの視界に入らないようにふいっと顔を背けた。

子供っぽい態度に苦笑いを浮べる。


「それで、来光くんも呪いについて調べてるんだよね?」


開かれた本を覗き込みながら尋ねると「ああ、うん」と目次を指でなぞる。


「せっかく任された初任務なのに、最後までやり遂げれないのが悔しくて。せめてなんの呪いなのか、自分なりに調べようと思って」


こんなにいがみ合っているのに考えていることは全く同じなんて、ちょっとおかしい。


「呪って言っても色んな種類があって、絞り切るのが難しくてさ。だから学生の間で伝承されるような呪いで絞ってるところなんだけど」

「学生の間で伝承……あっ、こっくりさんとか花子さんとか?」

「そうそう。でも京都って平安時代からそういう呪術が跋扈してたから、調べるだけでも結構骨が折れるんだよねぇ」


確かに私も中学時代はクラスメイトがよくそういう話をしているのをよく耳にした。一般人であっても、呪いを発生させる方法は意外と身近な所にある。

なるほど、と頷きながら本を覗き込むと、「ふん」と鼻で笑う声が聞こえて、来光くんがゆらりと顔を上げた。もちろん般若みたいな顔になっている。