「僕はこれから読むんだよ!」

「俺は今読んでる。俺の後に読め」

「お前こそもう読んだならいいだろ!」

「うるさい邪魔するなら出て行け」

「はァ!? 喧嘩売ってんの!?」


カンッと鳴り響いた喧嘩の合図に慌てて「二人とも落ち着いて!」と間に入る。

恵衣くんはどうしていつもそんな物言いしか出来ないのかな……。来光くんも、恵衣くんがからむといつも冷静じゃなくなるんだから。

皆で読もうと提案すると、分かりやすく嫌そうな顔をした二人。

それでもお互いに本は読みたかったのか、来光くんは私の隣に座り恵衣くんもそれ以上悪態をつくことはなかった。