その日の夕方、志らくさんが仕事から帰ってくるなり夕拝の前に緊急会議が開かれた。

今回の事件の担当者として私たちも会議に参加することを許されたので、末席に座って話を聞く。今晩行われる呪いの修祓に向けての作戦会議だった。

もちろん私たちは社で待機だ。何かあった時に本庁へ応援を要請するための連絡係と、呪いの媒介を持ち帰った際の封印作業の手伝いを任されることになった。


会議の後は夕拝をして社を開けると、私たちは直ぐに自分たちの部屋に押し込まれた。

作戦決行は真夜中、待機組とはいえ眠気眼ではいられない。今のうちに眠っておけという禰宜の心遣いなのだろう。


夕拝の後、私たちが神楽殿を出た後に志らくさんが鼓舞の明を舞っていた。修祓には権宮司と禰宜の二人で向かうらしい。念入りに作戦会議もして鼓舞の明も使った。準備に余念がない。

待機組の私たちの出番はきっとないはずなのだけれど、初めての大仕事ということもあってか布団に潜ってもパッチリ目が冴えてしまいなかなか寝付けない。

何度か寝返りを打って、頭まで布団を被る。真っ暗で静かな部屋に掛け時計の秒針がカチカチと進む音がやけに大きく響いていた。

ぬっと手を差し出して枕元のスマホを掴んだ。

布団の中に引き込んで画面を叩くと、時刻は21時を指している。私たちは作戦開始の23時に社務所へ集まるように言われている。

あと2時間と計算をしてもう一度目を瞑る。

深く息を吐いて、のそりと布団を抜け出した。