考え込む私たちをみて、来光くんが口を開いた。


『ノブくんが妖を見ることが出来るのは紛れもない事実だ。現に小学生の頃、目の前に現れた妖を見て驚いたって出来事があるだろ? なのにノブくんは"妖なんて見えない"って咄嗟に嘘をついた。僕が一連の犯人は"妖が見える人"だって言ったから、自分は違うと慌てて否定したんだろう』


そういう事か、とみんなの声が揃った。

車内ではお静かに、とバスの運転手さんに睨まれて慌てて口を閉じる。

"俺が"妖怪が見える"って言うたんは、お前に近付いて利用するためにそう言うたんや。"

ノブくんが吐き捨てるようにそう言った時、どこまで酷い人なんだろうと怒りに震えた。けれどそうか、ノブくんが妖を見えるということは動かない事実だから、この言葉は嘘になる。

そんな嘘をつく必要はないはずなのにあえてそう言ったということは────犯人がノブくんだという証拠になる。


『ついでに、ノブくんは今日何かしら動き出す。犯人が絞り込めてるって僕から聞いて、多分今すごく慌てているはずだ。恐らく呪いの媒介を壊しにくるか、呪いを完成させるか』

『完成って?』


私が聞き返すと来光くんは重々しく頷く。


『呪いたい奴らを今夜一気に片付けるってことだよ』