「お前のせいで俺は……あの日からずっと地獄や」
みんなが息を飲んだ音が聞こえた。
思い返せば初めて会った時から違和感があった。ヤンチャそうな男たちの後ろを数歩遅れて歩き、悪意のある呼称で呼ばれ、何かをこらえるように顔を顰めていたノブくん。
神修に来て信頼出来る友達と知り合えたからこそ分かる。
あんなのは友達じゃない。ちょっとしたふざけあいでもない。そこにあるのはただの醜い悪意の塊だ。
「俺はお前のこと、一生許さん」
そう吐き捨てると勢いよく駆け出す。
すかさず来光くんがその手首を捕まえた。
「待ってッ! 最後に一つだけ教えて……!」
ノブくんが掴まれた手を振りほどこうと勢いよく身をよじる。負けじと両手でその手を掴み直した。
「……僕が妖の姿を見れたことは覚えてるよね? ここにいる皆は同じ境遇の仲間だ。それで僕達はその力を見込まれて、この学校で起きている事件の調査を任されている」
突然赤裸々に話し始めた来光くん。突然何を言い出すのかと私たちは目を丸くする。
「一連の事件の犯人が、僕らと同じような力を持つ人間だって所までは絞り込めてるんだ」
来光くんの話に眉をひそめた。
だってつい先日学校関係者の名簿を本庁に送って照会してもらい、この学校にそれらしき人物はいないと判明したばかりだ。
それに何故今その話をノブくんにする必要があるんだろう。