ノブくん先導のもと案内されたのは人気のない体育館裏だった。
これがかの有名な体育館裏の呼び出しかぁ、漫画で見たやつじゃん、なんて呑気に辺りを見回す慶賀くんと泰紀くんに私までも気が抜ける。
私が緊張することでは無いはずなのだけれど、来光くんの強ばった顔を見ているといつの間にか肩に力が入っていたらしい。
けれどみんなすぐに間に割って入れる距離で二人のことを気にしているのが分かる。
私もいつでも割って入れるように、少し離れたところから見守った。
「……前、会った時はちゃんと話せなかったから。呼び止めてごめんね。久しぶり」
先に口を開いたのは来光くんだった。落ち着いた声だ。少しの緊張も感じる。
対してノブくんは俯いたまま固く口を閉ざしている。
しばらく待っても返事がなく、来光くんがまた語りかける。
「ずだと会ってもう一度ちゃんと話したかった。あの日から、ずっとそう思ってた」
あの日、という言葉にのぶくんの肩が震える。
全てを語らずとも「あの日」がいつのことを指しているのか、二人の中ではちゃんと通じあっているようだった。