校舎の一階をみんなで歩きながらきょろきょろと当たりを見渡す。
「にしても人多いな〜。どこ見ても同い年くらいの奴らがうじゃうじゃいるんだけど!」
廊下を楽しそうに歩いていく男子生徒の集団に、みんなは目を丸くした。
普通の学校に通ったことのある私と来光くんは顔を見合せて笑う。
「普通はこんなもんだよ。一クラス35人でそれが四クラス。三学年で合わせてだいたい400人超えるくらい」
「おいおい、それ教室狭くねぇの?」
「満員電車じゃん!」
確かに思えばあんな小さな教室に35人も人が入っていたと思うとちょっとびっくりだ。
神修は一クラス5人から10人程度だ。広い教室に慣れてしまったので、私も今この環境に戻ったら狭く感じてしまうかもしれない。
「神修ってどの学年もほぼ一クラスで、生徒数も少ないよね。やっぱり言霊の力を持ってる人が少ないから?」
私の問いかけに、みんなは少し気まずそうな顔をした。
首を傾げる。
「まぁ……それもだけど」
来光くんが曖昧に答えた。
それも?
他に理由があるみたいな言い方だ。
嘉正くんが少し言いにくそうに口を開く。
「俺らの親の代が、空亡戦で最前線に送られた年代の人達だから」
「あ……」
そうか、そういう事だったんだ。
思えば初等部はどの学年も当たり前のように二、三クラスある。生徒数が少ないのは中等部と高等部。空亡戦が激化した頃に両親が二、三十代だった学年だ。