食った食った、と伸びをしながら食堂の外へ出る頃には昼休みは残り30分を切っていた。


「時間が無いな。急いで見て回ろう」


「そうだね」とひとつ頷いた。

前回の聞きこみ調査で、私たちはこの一連の事件は学校内のみで起きていると検討をつけた。つまり犯人は、学校関係者か教員、在校生だ。

さらに禰宜のアドバイスによりその関係者全員の名簿と生年月日を取り寄せ、神社本庁へ送った。本庁に届け出のある人物名と照らし合わせて、力の有無を調べえもらうことが出来るらしい。

さらに神職ではない能力者────陰陽師や祓魔師の家系であるかどうかも調べれるデータベースまでもが存在するらしく、今回はそれにも照らし合わせてもらった。

次の日には「登録者該当ナシ」の結果が帰ってきて、関係者全員が言霊の力を保有していないことがわかった。

そんな事も出来るんだ、と感心しつつあの量の照会をたった一日で終わらせた本庁の人達もすごい。


とにかく、該当者がいなかったことから今回は普通の人が犯人である可能性が高くなった。力の持たない人が犯人、つまり誰でも発生させることが出来る呪い。"物"を媒介にした呪いだ。


「なぁなぁ。物を媒介にした呪いって所までは分かんだけどさ、それなら夜に忍び込んでチャチャッと媒介を壊せば一件落着じゃね?」


お腹が満たされると今度は眠気が来たらしく、ふわぁと欠伸を零しながら慶賀くんが聞いた。