「────ねぇ皆待ちに待った三学期だよ? ほらほら元気だしてよ〜」
始業祭の後の教室でのホームルーム、薫先生はやけにテンション高くそう言った。
「全然待ってねぇよ〜。冬休み短すぎだし〜」
「あはは、実家にいたところで社の手伝いさせられるだけでしょ? 学校の方が楽しいって。なんせ三学期は、これがあるしね!」
これ?と私が聞き返すと、薫先生は「隣に回して〜」と一枚のプリントを渡した。
自分の分を取って隣の来光くんに渡す。
一行目にポップな書体で書かれた「神社実習のお知らせ」の文字に、「あ」と声を上げる。
少し前から皆との会話に何度か上がっていたワードだ。
「薫先生俺らの実習先どこ!?」
「まねきの社は嫌だ、まねきの社は嫌だ……」
プリントには目もくれず身を乗り出してそう尋ねる慶賀くんに、顔の前で指を組んで祈りを捧げる泰紀くん。
薫先生は「今年の実習先は〜……」と言葉を濁しセルフでドラムロールを奏でる。
もう一度プリントに目を落とした。