「なぁなぁ。思ったんだけどさ、呪法の授業は来年からじゃん? 今回の調査で呪の原因が分かったとしても、俺ら最後までやらして貰えないんじゃね?」
時刻は正午を少し過ぎた頃。
西院高校の最寄りの停留所へ着いた私達は学校へ向かう道を並んで歩いていた。
「まぁそうだろうね。俺たちの最終報告を聞いた上で、禰宜が判断するんじゃない? 多分良くても後ろで見学じゃない?」
「も〜、何だよつまんねぇーの」
慶賀くんが唇をとがらせて頭の後ろで手を組んだ。
「僕らが"前科持ち"の事、どうやら禰宜にバレてるみたいだよ。出る時に『決して"俺らだけでもいけるんじゃね?"なんて思わないように』って釘刺されたもん」
前科持ちって。
来光くんの言い方に少し笑ってしまったけれど、笑い事では無いのは重々承知だ。
一度目は夏休み、妖だと思って執り行った神事で神様を怒らせてしまい、禄輪さんから強烈なビンタをもらった。二度目は二学期、先生たちに報告せず学校内に住み着いた怪虫の駆除をしてこれまた怒られた。
ちなみに二度目も、後日禄輪さんからかなり強めの手刀をもらった。次に勝手な事をしたらどうなるか分かっているな、と私たちに言い聞かせた時の禄輪さんの顔はきっと鬼の子でも逃げ出すに違いない。
とにかく私達にはリーチがかかっているので、これ以上勝手な事は出来ない。