「うわっ、なんかピチピチしてんだけど!」
「なぁなぁネクタイどーやって結ぶんだ?」
「スラックスって温かいんだね。かなり動きやすいし」
「なんか新鮮だね」
各々にそんな感想を口にしながら鏡の前でくるくる回る皆は着慣れない制服に何処か浮き足立っているようだった。
という私も初めてのブレザータイプの制服に少しドキドキしている。
中学の制服はセーラー服だったもんなぁ。
スカートのプリーツを整えながら鏡の中の自分をちらりと盗み見て緩みそうになる頬に慌てて力を入れた。
スカートは白と臙脂色のチェック柄、同じ色のリボンにワインレッドのセーター。胸元に学校のエンブレムが入ったブレザーは焦げ茶色でとても大人っぽい。
私達が調査をしている西院高校の制服だ。
なぜ西院高校の制服に着替えているのかと言うと、私達はこれから学校内に潜入するからだ。
『明るいうちに学校内を詳しく調べたいね』
来光が復活した翌週の月曜日、会議室に集まって本格的に調査を再開した私達の意見はそれで一致した。
とは言っても前回の調査が"学生が帰宅した夜に"という条件だったので、そんな事が可能なのだろうかと首を傾げる。
ダメ元で禰宜に尋ねたところ、「昼休みの50分間のみ、西院高校の学生服を着て目立たないように」という条件で内部調査の許可が降りた。