「────巫寿と巫寿のかーちゃんが舞ってるリズムが違うのは何で?」

「あ、僕もそれちょっと気になった」


動画を見せたあと、二人は率直な感想という雰囲気でそう聞いてきた。

「あ、それはね」と正直にまだ鼓舞の明がマスターできていないからだと打ち明ける。

鼓舞の明がマスター出来れば、自然の力に刻まれたリズムが分かるらしいのだけれど……。


「なるほど〜、鼓舞の明って難しいんだな」

「僕の書宿の明とは使い方が全然違うね」


腕を組んだ来光くんに尋ねる。


「書宿の明ってどうやって使うの?」

「結構簡単だよ。文字を書く時にめちゃくちゃ気持ちを込めるだけ。例えば凄く疲れてて眠りたいのに眠れない時とかに「眠れ」って書いたら一瞬で落ちる。名前を書くと対象を絞れるし、かなり精度も上がるよ」


へぇ〜、と目を丸くする。

やっぱり鼓舞の明とは全然違う。授力によってその力の使い方は異なってくるらしい。


「じゃあさじゃあさ! "瞬間移動するための御札"とかも作れんの!?」


身を乗り出して興奮気味に尋ねた慶賀くんに、呆れ気味に息を吐いて眼鏡を押し上げた。


「またそんな馬鹿なことを考えて……。理論上は出来るけど、もの凄く具体的に書かないと頭だけ取り残されたり海の中に着いたりするよ」