「舞はもう完璧なんやけどなぁ……」
ふむ、と顎に手を当てて首を傾げた志らくさん。私はがっくりと肩を落とした。
今日で何度目かの「鼓舞の明マスター講座」。
これまでは私の中に宿る鼓舞の明を感じる為に瞑想を繰り返す日々だったけれど、実習も残りひと月を切って「座ってても仕方ないし舞うか」という志らくさんの提案によりとにかく動いてみることになったのだ。
リズムはまだ分からないのでとにかく決められたステップを四拍子で舞い切る。
それで志らくさんのあの発言だ。
足りていないものは分かっている。私に足りていないのは「リズム」だ。
志らくさんの鼓舞の明を初めて見た時の事を思い出す。三拍子とも四拍子とも言えない独特な拍子で舞う姿は、崩したリズムのはずなのにとても見ていて心地よかった。
私にはまだその"心地いいリズム"を見つけられないでいる。
実習が終わるまであと一月。習得するには時間がかかると聞いていたし志らくさんからは「気長にやろう」と言ってくれたけれど、ここ数週間何も変化がないとどうしても気持ちが焦ってしまう。
うーんと唸り声を上げて考え込む志らくさんの前に正座した。