相変わらずの減らず口に肩をすくめる。

でもいつもこんな時間まで勉強してるなんて、私も少しは見習わないといけない。


「いつもここで勉強してるの? 部屋じゃなくて」

「あの騒音環境で集中出来るなら是非とも見せてくれ」

「あー……なるほど」


部屋数が少ないので男子は相部屋になっている。確か恵衣くんと同部屋なのは慶賀くんと泰紀くんだ。最近までは嘉正くんも三人部屋で寝起きしていたし、それはそれは賑やかな部屋だったんだろう。

確かに落ち着いて勉強できる環境ではなさそう。


「だから"居間"ってメッセージくれたんだね」


そう言うとピタリと手を止めて険しい顔をした恵衣くんが私を見る。

え、私なにか間違った事言った……?


「お前、夜中に男の────」


何かを言いかけた恵衣くんは不自然に言葉を止める。頬を少し赤くすると、不機嫌そうな顔で勢いよく教科書を閉じた。


「寝る」

「あ、うん。レポート、本当にありがとう。おやすみ」

「……ああ」


ひとつ頷いた恵衣くんは振り返ることなくスタスタと部屋へ戻って行った。