『あんたらいい加減寝なさい!』と千江さんの雷が落ちたのは、日付が変わって少しした頃だった。両手いっぱいにお土産を抱えた私たちは名残惜しい気持ちを残し解散する。
「慶賀、その掬った金魚どうするつもりなの?」
「神修の池で飼おうかな〜」
「鯉と亀の餌になるだけだぞ」
そんな話をしながら部屋へ戻っていくみんなの背中を少し羨ましく思う。
嘉正くんたちはもう少し部屋で騒ぐんだろう。
こればっかりは仕方ないと自分を言い聞かせて、私も部屋に戻った。
お風呂を済ませて明日の支度を終わらせ、布団に潜る。まだ眠くなかったので溜まったメールやメッセージを確認していると、夕方頃に薫先生からメッセージが届いていた。
『元気にしてる? 神社実習の中間記録レポートが一週間前に提出締切だったんだけど、すっかり忘れてるよね? それだけ実習が充実してるってことなんだろうけど、成績に関わっちゃうからなるべく早く出してね』
中間レポート、という文字を目にした途端、鏡で確認せずとも自分の顔がサァッと青ざめていくのが分かった。
慌ててボストンバッグから学校を発つ前に渡された茶封筒を取り出す。中間レポートと書かれた一切手のつけられていない紙が現れてその場に固まる。