「なんか良いなぁって思って。やっぱり皆は知り合って長いわけだし、分かりあってる感じがして」


遠慮のないやり取りも、信頼しているからこそ出来ること。容赦の無い言葉だって絆があるからこそ安心して口にできる。

来光くんは間違いなくこのメンバーの一員だった。


「何言ってんの、巫寿もでしょ。泰紀が"五人"を"六人"にしたのは、そういう事だよ」


ふふ、と笑った嘉正くんに、胸がじんと熱くなるのを感じる。

ありがとう、と口を開きかけて直ぐにその違和感に気がついた。


「ねぇ嘉正くん。泰紀くんが"たったの五人しかいねぇクラスメイトだぞ"って言ったのは、かなり後半の話だよね? 寝ちゃってたんじゃないの?」


そう尋ねれば嘉正くんは「バレた?」といたずらに笑った。内緒ね、と人差し指を立てて方目を瞑る。

思わずプッと吹き出した。

学校の廊下を駆け抜ける時のように、慶賀くん達が先を走る。

この仲間の一人になれたことがとても誇らしくて嬉しかった。