「これからも……友達でいてくれるの」
静かな問いかけだった。けれどその言葉を発するのにどれだけの勇気が必要だったのかがよく分かる。
泰紀くんが持っていた枕を投げた。来光くんが胸の前でそれを受け取る。
「前に言っただろ? たったの六人しかいねぇクラスメイトだぞ。友達になりましょうそうしましょうの確認なんざいらねぇつーの」
窓から差し込む月明かりに瞳がきらりと光る。光はひと粒のしずくになってこぼれ落ちた。
枕に顔を埋めるように頷いた。何度も何度も頷いて来光くんは鼻をすする。
皆は顔を見合せて笑った。
「ありが、とう。皆本当にありがとう。これからも────」
「よっしゃ話し合い終了! さっさと屋台行こうぜ!」
来光くんが何かを言いかけたのだけれど、パチンと指を鳴らした慶賀くんの声で掻き消される。
またお前は、と目を吊り上げた来光くんに「まぁまぁまぁ」と泰紀くんが肩を揉む。
「折角だし行こうよ来光。楽しまなきゃ損でしょ」
「嘉正まで……」
ほらほら、と背中を押されて皆は部屋を出る。
私はそんなみんなの背中をぼんやりと見つめていた。
ちょっと羨ましかった。
「巫寿? どうしたの、行くよ」
嘉正くんが振り返った。
あ、うん!と慌てて歩き出す。
どうかしたの?と首を傾げた嘉正くんに頬をかいて曖昧に笑う。