何度か瞬きをして、唯一顔を挙げなかった慶賀くんがその音を鳴らしたのだとわかる。


「おい慶賀?」


隣に座っていた泰紀くんが肩を揺すると「んぁ?」と気の抜けた声をあげて、眠そうな目をした慶賀くんが顔をあげた。

ぐりぐりと目を擦り大きく伸びをする。


「あ、もしかして来光の長話終わった?」

「……え?」


ふわぁと欠伸をこぼした慶賀くんに、来光くんは目を点にする。


「いや、だってお前話長いもん。今日朝早くて寝不足だったし、来光がいないぶんめっちゃ扱き使われて疲れてんだよ。仕方ねーじゃん」

「じゃあ……僕の話、居眠りして聞いてなかったの?」

「おう! ノブくん?が出てきた辺りから聞いてねぇ! 結局何が言いたかったんだ? 結末だけ教えて〜」


悪びれる様子もなく「てかケツ痛ぇ〜」と畳の上に寝転がった。

顔を真っ赤にした来光くんが眉を釣りあげて目を剥いた。


「なっ……なっ……お前って奴は!」

「いちいち話が長ぇ来光が悪ぃんだろ〜」

「僕の一世一代の告白を何だと思ってるんだよッ!?」

「聞いて欲しいなら手短に言えつーの!」


はァ!?と顔を歪ませた来光くんが立ち上がった。


「他のみんなはちゃんと聞いてくれたのに、お前は〜ッ! 酷いと思わない!?」


ビシッと慶賀くんを指さして同意を求めるように私達を見回した来光くん。

すると泰紀くんと嘉正くんが不自然に目を背けた。