次の夏には、秋には、冬には、来年には再来年には。
みんなに嫌われて、みんなに。
みんなに────嫌われたくない。
みんなともっと一緒にいたい。みんなと笑って過ごしたい。みんなとずっと友達でいたい。
こんなの初めてだった。こんなにも楽しくて、幸せで、離れ難い毎日は初めてだったんだ。
「薫先生」
「ん〜? どした?」
中学三年の三学期、僕は放課後に薫先生の研究室を訪ねた。
もうすぐ中等部の卒業課題である昇階位試験がある。
「どしたのそんな深刻な顔しちゃって〜」
「聞きたい事があるんです」
薫先生は目を瞬かせた。
「神役諸法度の授業で習ったんです。神修への就学前に他者を呪殺した場合、正階未満の階級とする。また、権禰宜以上の神職としての奉仕を禁ずるって」
「……そうだね」
「僕の場合、どうなりますか?」
その一言だけでも薫先生は十分に伝わったらしい。真剣な表情になると腕を組み考え込むように目を瞑る。
「確かに呪殺した場合の処罰はそうなってるね」
薫先生の言葉に目を伏せた。
「けど来光の場合は授力を無意識に使った事による呪い被害の発生で被呪者は死亡してない。本庁へ確認が必要にはなるけど、罰にはならないと思うよ」
パッと顔を上げた。
ニヤニヤ笑う薫先生と目が合う。