その時。


「あーもう! グダグダしてたら時間なくなるって! いいから行くぞ、来光も!」


腕を引っ張られて転けそうになりながら立ち上がった。走り出したちっちゃい馬鹿に続いて、筋肉馬鹿が僕の背中を押す。

無理やりでごめんね、と優等生が呆れながらも止めることなく走って着いてきた。


気を許しちゃダメだ。

だっていつかはこいつらだって、あんなふうに僕を無視する。期待して傷付いて、またその繰り返し。

僕はもう疲れたんだ。


「ひっさしぶりに亀吊ろうぜ、亀!」

「ヌシのやつ、元気にしてっかな!」

「お前ら、初日から罰則食らうつもり?」


賑やかな声が響く。並んだ四つの影が廊下を駆け抜けた。