きゃいきゃい騒ぎながら中へ入ってきた二人。僕の机の周りをみんなが囲った。
「誘うも何も、たったの五人しかいねぇクラスメイトだぞ。友達になりましょうそうしましょうでは遊びに行きましょうそうしましょうの確認なんざいらねぇだろ?」
あまりにも自分の知っている常識とはかけ離れていて、一瞬理解が出来なかった。
ちっちゃい馬鹿が「お前変なの!」と不貞腐れたように言う。筋肉馬鹿が「お前釣り得意?」とにっかり笑う。優等生が「来光どうしたの?」と不思議そうに首を傾げた。
正直言って、疑った。たった数時間でこんなにも距離を詰めようとしてくる彼らを疑った。
だって普通なら自己紹介してはい終了。よくて帰り道を一緒に帰るくらい。何も言わずに友達になるなんて、その日のうちに遊ぶなんてありえない。
それに初日に親しげに話しかけてくる奴らは、一週間後に態度をころりと変える。僕が話しかければ笑いをこらえるような顔をして返事をして、仲間内でひそひそクスクス笑い合う。
いつもそうだった。
だからきっとこいつらだって、一週間もすれば前の学校のやつらみたいに態度を変えるんだ。
机の上に視線を落とした僕は膝の上でぎゅっと拳を握る。