青いエプロンみたいな物を着た救急隊員がバタバタと中から降りてきて、集まる僕たちを押しのけて職員室へ入っていく。


「先生が倒れたらしいで!」

「うそ! 誰先生?」

「わからん。よその学年みたいやけど」


興奮気味に話すのは恐らく下の学年の生徒だ。


救急隊員が出てきた。担架のようなものを押している。

そこ開けろ!と先生達が叫んで、皆はぞろぞろと道を開けた。担架が僕の目の前を横切る。一瞬見えた酸素マスクを付けた青白い顔に目を見開いた。

今のって────。


直ぐに出発した救急車のサイレン音が遠ざかって行って、先生達がいよいよ「早く帰りなさい!」と怒鳴り声を上げた。

みんなは口々に今目の前で起きた出来事を友達と共有しながら興奮気味に走っていく。


呆然と立ち尽くしていた僕に歩み寄ったのは、ついさっきまで教室で話していたあの二人だった。

二人は顔色を青くして恐怖を貼り付けたような表情で僕を見た。視線が合うなり「ヒッ」と息を飲む



「おま……お前のせいや……」


何を、言ってるんだ?


「お前が、先生を殺したんや」


ちがう、ちがうちがうちがう。


「死神……この死神ッ!」


僕じゃない、僕はやってない。僕にそんな事ができるわけが無い。

これは偶然だ、たまたまタイミングが重なっただけなんだ。

ちがう、僕じゃない。だってそんな事出来るわけがないじゃないか。