「────あっ、巫寿やっと帰ってきた! こっちこっち〜」
始業祭の前日。
学校へ向かう一番最後の便の車に乗って寮へと帰ってきた私は部屋に荷物を置いて広間へ顔を出した。
丁度夕飯の時間で、たくさんの生徒が冬休みの思い出を語りながら夕食を食べていた。
名前を呼ばれてキョロキョロと見渡すと、広間の真ん中の方に皆がいた。
手を振り返して歩み寄る。
「遅いから明日が始業祭だって忘れてんのかと思ったぞ〜」
「何かあったの?」
「お兄さんまだ体調悪いのか?」
みんなのそんな質問に苦笑いを浮かべる。
「その正反対だよ。もう元気満々で鬱陶しいくらい。今日だって本当は昼の便で帰ってくる予定だったのに、一緒に晩御飯食べたいってごねちゃって」
二学期の奉納祭に来ていたお兄ちゃんの様子を見ていた皆は、なんだそう言うことかと納得したように頷く。
一度会っただけで重度のシスコンだとバレるお兄ちゃんもどうかと思う。
溜息をつきながら来光くんの隣に腰を下ろした。
「あ、巫寿ちゃん。改めて、あけましておめでとうございます。年賀状ありがとう」
「あっ、あけましておめでとうございます。来光くんも皆も、年賀状ありがとう」
ほだかの社でのアルバイトが終わってお兄ちゃんと実家へ帰ると、郵便受けには皆からの年賀状が届いていた。