『えー……田辺が入院することになりました』
次の日、学校を休んでいた田辺が入院したことを知らされた。
先生は詳しく語らなかったけれど、たまたま聞こえた噂話によると高熱が出て救急車で病院へ運ばれたらしい。
検査をしたけれど原因は不明、意識も戻らないらしい。
教室に少しずつ妙な空気が流れ始めた。
その日の夜はやけに騒がしくて、真夜中に目が覚めた。窓の外を見ると家の前の道路を何台ものパトカーが赤いランプを照らしながら過ぎ去って行った。
朝学校へ登校するといつも以上に騒がしくて、騒がしい教室へ顔色の悪い担任が入ってきた。皆はワッと先生へ詰め寄ると一斉に話しかける。
何とかいくつかの声を拾うことが出来た。
『先生、澤田くんが行方不明ってほんま!?』
『昨日澤田のカーチャンから夜電話来てんけど! あいつが塾から帰ってこやんって!』
先生はこめかみを押えて息を吐き、皆に席へ戻るように促した。
『もう聞いてると思うけど、澤田が昨日から家に帰ってない。昨日の澤田の様子とか、一緒に遊んでたやつ、何か知ってることがあったら何でもいいから先生に話して』
教室のざわめきがピタリとやんで水を打ったように静かになった。
『今日の休みは、山本と濱谷と田辺……あと三好な。他おるか?』
『丸山がおらんで! 休みー?』
『丸山な、連絡ないからあとで電話しとくわ』
静まり返ったまま朝のホームルームが終わり、担任が出ていくなりクラスメイト達はワッと友達と話し出す。