「あ? なんやこれ」
ふとそんな声がして、騒いでいた奴らの動きが止まった。
「今日はノブくんと公園で遊んだ。カードゲームをした。楽しかった────これお前の日記か!?」
そんな声に弾けるように顔を上げた。
手に握られていたのは何の変哲もない水色の表紙のノート。表表紙には"No.17"とだけ記されている。
目を見開いた。考えるよりも先に手を伸ばした。
「か、返してッ!」
「うわっ、何すんねんコイツ! おいお前ら、来光のこと抑えとけ!」
足で蹴飛ばされて尻もちを着いた。起き上がろうとしたけれど肩を押さえつけられて上手く立ち上がれない。
「やめろよッ、勝手に見るな! 返してッ! 返せよ!!」
必死に身を捩ってそう声を上げる。
「えっと〜。今日から夏休み。ノブくんとのサマーキャンプまで後少し。楽しみすぎて眠れない……だってよー! キッショお前!」
げらげらと笑って中身を音読すると「次俺な!」と別の奴がノートを取上げた。
なんで日記がのここに。だってあれはいつも引き出しに仕舞っていたはずだ。
最後に書いた時だって、ちゃんと、引き出しに────。