「来光〜、やっと学校来たか。お前も正信も学校こやんし、退屈しとったんやで」
給食がおって教室に戻り、次の授業の用意をしていると急に後ろから肩を組まれた。
はっと顔を上げると、ニヤニヤと卑しい顔で僕を見下ろす数人のクラスメイトがいた。
「あの日の勝負のことちゃんと覚えてるよな? 負けたんはお前や。つまりどういう事か分かるな?」
自分が言葉を発するよりも先に、勢いよく机が蹴飛ばされた。
ガシャン!と激しい音がして机が床を転がり、しまっていた教科書やノートが床に散らばった。教室に残っていた数人の女子が驚いて悲鳴をあげる。そして逃げるように我先にと教室から出ていった。
「あーあ、ゴミが床に散らばった」
「ゴミやしゴミ箱に捨てたるわ」
「ゴミなら踏んでもええよなぁ?」
ギャハハと笑ったそいつらは、散らばった僕の教科書を拾い上げてゴミ箱に投げ捨て、蹴飛ばして踏んづけて、ビビりと破いていく。
震える右手を押さえつけるように左手で握りしめる。きつく目を瞑り俯けば、口の中に鉄の味が広がった。