一週間経って熱が引いた。

本当はもうこのまま学校になんて行きたくなかった。ずっと何も考えずに眠っていたかった。

けれど僕が部屋で寝込んでいる間、リビングでお父さんとお母さんが喧嘩する声を聞いた。どちらが仕事を休んで僕の面倒を見るのかで揉めていたらしい。

そんな様子で「学校を休みたい」なんて言い出せるわけがなかった。


胃がキリキリする。鉛が付いているかのように足取りが重い。一週間前からずっとお腹のそこがモヤモヤしてずうんと重い。


本鈴のギリギリまで靴箱のすみで時間を過ごしていると、職員室からでてきた担任に「早く教室に行きなさい」と声をかけられた。

仕方なく上履きに履き替えて、担任の後ろを着いている。


階段を一段上るたびに心臓がドッドッと少しずつ早くなる感覚が分かった。教室が近づくにつれて、誰かに喉を絞められているような息苦しさを感じる。


教室の前まで来た。

担任に「ほら」と背中を押されてきつく唇を噛み締める。教室の扉が開くと同時につま先だけを見て自分の席へ一目散に向かった。

席に座って止めていた息を細く吐く。


そっと机の中へ手を入れるとゴミを入れられていることも無く、机の落書きも今日はない。


うるさかった動悸が少しだけ収まった。