頬が熱い。そこでやっとノブくんに殴られたんだと理解した。

なん、で? どう、して?

ぼんやりする頭の中でそのふたつの言葉がずっと回り続ける。


「あああッ!」


ノブくんの叫び声が頭に響く。

笑い声と、口笛と、手を叩く音。

「アハハッ、ほんまに殴りよった!」「ナイスパーンチ!」「おいおいオトモダチやろ、容赦したれよ〜」「キッショコイツ!」「泣きながら叫んでるし!」


ああ、そうか。やっぱりそうなんだ。僕に友達なんていなかった。出来るはずがなかった。

身体中が燃えるように熱い。頬も目の奥も、腹の底も。腹の底から登ってくる。爆発しそうなほどの抑えきれない何かが。

うるさい、汚い、気持ち悪い。

全員、もう、今すぐ。




────消えてなくなれ。