「おーいお前ら。めそめそ泣くんもショック受けるんも後でやって貰ってええか? メインイベントはこれからなんやけど」
そんな声とともに突然両脇から腕を掴まれた。
ノブくんが悲鳴をあげた。僕と同じようにして無理やり引き起こされたらしい。
「はーい、皆さんここからは本日のメインイベントでーす!」
いえーい、と盛り上がる声が教室に響く。
僕とノブくんは向かい合って立たされた。
「今からこの二人には生死をかけた試合をしてもらいマース! 文字通り負けたヤツは死や、卒業までずっと俺らのターゲットになってもらう」
ヒューッと誰かが唇を鳴らした。
「来光、お前が勝てばお前は明日から晴れて自由の身や。代わりにこいつが次のターゲットになる。反対に正信が勝てばターゲットは来光のまま、お前はいじめられることなく平和に卒業出来るで」
ノブくんの肩が震えた。顔はあげない。でも酷く脅えて泣いているのは分かった。
「ルールは一個だけや。先に相手の事殴った方が勝ち、簡単やろ?」
目を見開いた。
殴れば……勝ち?
ノブくんを、殴る?
僕が?