お互いに"見える"ことがわかった僕達は、前に比べていっそう仲良くなった。
これまで話せなかったことも沢山話した。ノブくんは妖に悪戯されて出来た肩の傷を見せてくれた。だから僕も、前の学校の社会科見学で起きた事を話した。
お互いに「大変だったね」と励まし合った。
あの頃はそんな一言で片付けられるようなことじゃなかったのに、気持ちを吐露できる相手が出来ただけで心の整理がついた気がした。
毎日書いていた日記では、無くなった上履きの回数を数えなくなった。代わりに楽しい記憶が毎日毎日溢れた。
二人でいれば怖いものなんてないと思っていた。これからもずっとそんな日が続くと思っていた。
「────俺らが気づいてないとでも思ってたん? こそこそ裏でつるんでほんまキッショ」
あの日までは。
それは二学期が始まって少し経った頃だった。
日直の仕事で放課後に日誌を書いていると、いきなり襟首を掴まれて椅子から転げ落ちた。
ガシャン!と激しい音を立てて椅子が倒れる。鈍い音が頭の中に響くと同時に痛みが広がった。