「昔から、誰にも分かって貰えなくて苦しかったんだ。たまに、僕自身がおかしいんじゃないかって思う時もあった」

「俺もや。周りの人は見えてへんから、おかしい奴やと思われた。だから"見えへん振り"してた」


少し息が詰まった。

僕と同じだ。

天井を仰いだ。目が熱い。


「────なぁ来光。握手せん?」


何それ、変なの。

普段なら直ぐに出てくるそんな軽口は出てこなかった。だって自分も同じ気持ちだったから。

面と向かって手を握りあった。ノブくんは痛いくらいに握ってくる。自分も同じくらいの力で握り返した。

なんの涙かは分からないけれど、ちょっと泣きそうになった。