「それにしても、二人して寝惚けるなんて仲良いね。寝ぼけた拍子にテントを潰すのはやりすぎだけど」
一通りのお説教を頂戴した夜中の24時。今からテントを組み立て直すのは難しいという事でコテージの一室を借りることになった。
チューター役の大学生が僕たちの布団を用意しながらそう笑う。
僕達はいっそう身を縮めた。
「はい、出来た。明日朝起きたらテントは自分たちで立て直すんだよ。もう遅いからお喋りしないで寝ること。分かった?」
はい、と項垂れるように頷くと、「じゃあおやすみ」と部屋を出ていく。
その扉がパタンと閉まるなり、僕達は勢いよく顔を上げた。
「見えんの!?」
「見えるの!?」
声が揃った。
それが何故だか可笑しくて、二人して布団に倒れ込んでゲラゲラと笑った。
「まさか、こんなに近くに見える人がいたなんて! 僕生まれて初めて会ったんだけど!」
「俺だってそうや! 来光が見える奴やったなんて!」
「ねぇ見た!? さっきの妖怪!」
「腕毛むくじゃらやったな! ほんまにビビった!」
またケラケラと笑う。ひとしきり笑ったあと、二人おなじタイミングで息を吐いた。