「声掛けてくれて、ありがとう」
目を合わせるのは少し気恥しいので、キノコを探すふりをしてそう伝える。
ずっと思っていた。
これまでずっと独りだった。どこに行ってもそうなる運命なのだと無理やり自分に言い聞かせてきた。そうしないと、涙が溢れてしまうから。
でもこの学校に来てノブくんに声をかけてもらって友達になって、毎日はガラリと変わった。
楽しくて楽しくて仕方なかった。
初めて出来た親友だった。
「なんやねん急に。一人でこんな所きてもつまらんやろ!」
サマーキャンプに誘った事だと思ったらしく、ノブくんは何ともない顔でそう笑った。
本当の意味は伝わっていなかったみたいだけれど、それでいい。
ふふ、と小さく笑って立ち上がった。