「ノブくんのお母さんですか?やって! 俺やし!」
「え、ノブくんだったの? ひどいよ!」
「ヒヒヒッ騙されてやんの〜」
もー、と唇を尖らせながらくすくすと笑う。「で、何?」と尋ねられて本題を思い出した。
「サマーキャンプ僕も参加していいって!」
「マジで!? やったやん、一緒に行ける!」
「うん! まぁ向こうでも勉強する約束なんだけどね。それに成績下がったら受験終わるまで外出禁止だし」
「でも来光なら大丈夫やろ!」
「まぁね」
「こいつ!」
いひひ、と笑えば電話越しにケラケラ笑う声が聞こえてきた。
これまでの夏休みは誰にも虐められないからという理由で心待ちにしていたけれど、今回の夏休みは少し違う。
ちゃんと心の底から楽しみだと思えた。