「ああはいはい、そうですかそうですか! でも誰も頼んでないんだよ、お節介なんだよお前ら全員……!」
コノヤロウ、と顔を歪めた慶賀くんが布団に手を伸ばす。
泰紀くんが慌てて羽交い締めにして抑えた。離せ泰紀、と暴れる慶賀くんをみんなで宥める。
「落ち着いて慶賀。あと来光も言い過ぎ。俺らの気持ちも考えて」
嘉正くんの落ち着いた声に、来光くんは布団の中で黙り込んだ。
「気分が乗らないならまた誘うよ」
息を吐いてそう言った嘉正くん。
その瞬間「……ッ、」と来光くんが何か言いたげに言葉を詰まらせた。
布団がいっそう頑なになる。
部屋を出てしまっていいんだろうか。「また誘うよ」とだけ言って、去ってしまっていいんだろうか。
そうじゃない気がする。そうしちゃダメな気がする。
このままじゃ何も変わらない。本当の来光くんの気持ちはまだ聞けていない。
「離せ泰紀ッ!」
「痛ぇ! おま、バカッ!」
暴れた慶賀くんの手が泰紀くんの顎に綺麗に入ったらしく、泰紀くんがその場に踞る。
その隙に慶賀くんはベッドに駆け寄った。
「慶賀!」
嘉正くんの制止する声よりも早かった。