締め切られた扉の前に並んだ私たちは互いに顔を見合わせた。

ひとつ頷いた嘉正くんが一歩前に出て、「来光、入るよ?」と声をかける。案の定返事はない。しばらく待っていたけれどやはり反応はなく、仕方ないので返事を待たずにドアを開けた。

遠慮なくぞろぞろと入っていく皆の最後尾に続いて中へ入った。


「おーい来光、来たぞー」


泰紀くんのそんな言葉に、ベッドの膨らみがびくりと震えたのが見えた。

ベッドサイドに立った嘉正くんが声をかける。


「来光、今日の奉仕終わったよ。朝も言ったけどこれから社頭の出店巡ろうって話してて、一緒に行こう」


くるまった布団の塊がぎゅっと小さくなる。

そんな様子に嘉正くんは眉を下げた。


「体調悪い? だったら無理に誘わないよ。なんかお土産買ってくるし」


どんどん小さくなっていく布団の膨らみに、何となく来光くんの気持ちがわかるような気がした。

きっと優しくされるのが、今は苦しいんだ。



「来光────」

「もうほっといて……ッ!」


呼びかける声を遮ったのは、来光くんの怒鳴り声だった。

久しぶりに聞いた声は掠れていて、怒鳴り声にしては微かに震えていた。


「僕のことなんかほっといて勝手に行けばいいじゃんッ、もう僕に関わんな……!」

「なっ、お前俺らは心配してわざわざ声掛けに来てやったのに!」


眉を釣りあげた慶賀くんが一歩前に出た。