「なんでそんな変な歩き方してんだ?」
すり足のようにそろそろ歩いていた私を不思議そうに見下ろした泰紀くんがそう尋ねる。
あはは……と力なく笑って肩を竦めた。
八時間の奉仕が終わり、晴れて自由の身となった私たちは節分祭で賑わう夕暮れ時の参道を横切り社宅へ向かっていた。
慶賀くんが鬼市くんも誘っていたけれど、18時からもう一度ある追儺式の準備があるので抜け出せないらしい。
顔を合わせるのが少し気まずいのでこっそり息を吐いた。それはさておき。
────まさかこの年で歳で痛めるなんて。
足を踏み出す度にジンジンと鈍い痛みが走る腰を皆にはバレないようにそっと撫でる。
志らくさんの言う通り、子供たちの容赦ないタックルで見事腰を痛めた私。どうにか痛みが響かないように静かに歩いていると自然とすり足になってしまうのだ。
言われた通りサポーターを買っておけばよかった、と後悔しても遅い。はぁ、と息を吐けば鈍い痛みが走って慌てて息を潜める。
同い年のみんなにその事を話すのは少し恥ずかしいので言葉を濁した。
あとでこっそり千江さんに湿布を貼ってもらおう。
そう心に決めて先を行くみんなの背中をすり足で追いかけた。