泣き叫んでいた子供たちがバッと顔を上げて私を見た。次の瞬間、どこにそんな力があるのかと目を疑うほど激しく暴れて鬼の手から逃げ出した。

見たこもないような必死の形相で、転んでも這いながら私の方へ走ってくる。


"逃げてくる子供たちを福神っぽく迎えてあげて"


事前に志らくさんからそう言われていたのでとりあえず両手を広げて受け入れる体勢をとる。

子供たちがどんどん近付いてくる。鬼が後ろから追いかけて来ているからか走るスピードはどんどん加速しているようだ。


待って待って、これ大丈夫だよね?

スピード緩める様子がないんだけど、このまま全員私に突進してくるとかじゃないよね……?


うわあああ、と泣き叫びながら子供たちが猛スピードで駆け寄ってくる。あと数歩くらいまで迫ってきた。


あ、駄目かもしれないこれ。


そんな考えが頭をよぎった3秒後、無数の小さな手が伸びてきてドンッ!と体に衝撃が走った。腰に飛びついてきた子供たちがうわぁっ!と私にしがみついて泣き出す。

すぐさま第二派が来て支えきれずによろめくも、すぐに背中から第三波の衝撃が来て堪らず「うっ」と呻き声をあげた。


「逃げてんじゃねぇぞガキども!」

「病気になりたくねぇなら戦え〜!」

「おらおら逃げても無駄だぞ!」


追いついた鬼たちが、外側にいる子供たちを引き剥がしていく。うぎゃぁあ、とまるで世界に絶望したかのような悲鳴が響いた。