どんどんページを捲っていく。
多分写っている人達はほだかの社の神職や、神母坂家の親族なのだろう。
記念写真や日常風景、たくさんの景色が切り取られている。
やがてアルバムが五に差し掛かって、ようやく禄輪さんを発見する。"禄輪 初等部入学"傍にそう書かれていた。
神修の初等部の水干を模した紺色の制服姿を来た姿で、あどけない顔で満面の笑みをうかべこちらに向かってピースサインを見せている。笑うと糸みたいに細くなる目が今も昔も変わらない。
その隣に禄輪さんと手を繋いでぼうっと空を見上げている男の子がいた。
よく見えないけれど、何となく誰かに似ている気がする。
誰だっけななんてと思いながらどんどんページをめくっていくと、写真の中の禄輪さんはすくすくと成長していく。その隣には必ずその男の子が映っていた。
そして"禄輪 九ツ"と書かれた写真に、急にもうひとり人が増えた。女の子だ。満面の笑みを浮かべて二人の手を引いている。
「あ、もしかして……」
消えかけたボールペンの文字に目を懲らす。
"禄輪 一恍 泉寿"
並んだ三人の名前に「やっぱり」と小さく笑みをこぼす。