「俺さ、あいつがクラスメイトに死神って呼ばれてたことが関係してるんじゃねぇかって思ったんだけど」
それは私も少し思っていたことだ。
クラスメイトに「死神」という名前で呼ばれ、からかわれていた来光くん。そう呼ばれるに至った経緯に、来光くんが塞ぎ込んでいる理由があるような気がした。
「もう理由とかなんでもいいよ。とにかく、やられっぱなしなんて来光らしくねぇよ。やられてもギャンギャン喚いてブチギレるのがあいつだろ」
「だな。それにあいつがいねぇと調子狂う」
揃って三馬鹿と呼ばれる二人は、来光くんが寝込んでからずっと静かだった。
はぁ、と揃えて息を吐いた二人。
「何があったかしらねぇけどさ〜」
「そうだな。何でもいいけど、とにかくあいつがいねぇと暇」
もう一度ため息をついた二人。
ちょうどその時千江さんが温め直したお昼ご飯を運んできてくれた。
いただきます、とみんなで声を揃える。
もそもそと咀嚼した慶賀くんはごくんと飲み込む。そしていきなり「ウワーッ」と叫びながら頭を抱えたかと思うと自分の頭をガシガシと掻きむしった。
嘉正くんが「け、慶賀?」と顔をひきつらせる。
そのままうずくまって動かなくなった慶賀くんは「ハイッ!」といきなり手を挙げて立ち上がる。
あまりの勢いに目を瞬かせた。
「知らん知らん知らーーん! もうどうでもいい! あいつが過去にいじめられていようが、実は人間じゃなくて死神だろうが俺は知らねぇ! 励ますとか話聞くとかそんな器用で繊細なことは無理! とにかく来光がいないと退屈、以上! だから俺は明日の節分祭で、奉仕が終わったあとあいつを連れ出して社頭で遊ぶ!」