コタツに潜りながら皆は少し気がかりな様子で天井を見上げる。上の階は私たちに割りあてられた私室だ。


「来光やっぱ、気にしてんのかな」


慶賀くんがテーブルに突っ伏して呟いた。

みんな考えている事は同じらしい。


「気にしない方が難しいよ。俺だって思い出すだけではらわた煮えくり返りそう」


冷静な声ではあるけれど、きつく握った拳が嘉正くんの気持ちを表している。


「俺バカだから分かんねぇんだけどさ。こういう時って話聞いてやった方がいいのか? 無理に話して思い出させる方が苦しいんじゃないか?」


泰紀くんは神妙な顔でそう言う。

前に来光くんと話したことを思い出す。いつか聞いて欲しい、たしかにそう言っていた。

きっとまだその「いつか」ではなくて、自分の中で整理をつけてある段階なのだろう。だったら無理矢理聞き出すのは、きっとかさぶたを剥がすのと同じなのだろう。

思ったまま伝えると、皆は目を伏せた。


「確かに巫寿の言う通りだ。来光が自分から話すタイミングを作るって言ったなら、それを待とう」

「でもよぉ。その……あいつがいじめられてたってのはもう、俺たちも知ってるわけじゃん? もう隠すも何も、なぁ?」


同意を求めるように泰紀くんに視線を送った慶賀くん。泰紀くんは腕を組んで目を細めた。