代わりに千江さんが持っていたお盆を受け取って流しへ置いた。お皿には半分のオムライスと手付かずのスープが残っている。


「……これ、来光くんのお昼ですよね? 来光くんの体調どうですか?」


鍋の底を覗き込んでコンロの火を調整しながら「うーん」と千江さんが唸る。


「熱も下がったし隔離期間も過ぎたから問題ないとは思うんやけど、まだ起き上がるのはしんどいんやって。本人も"うつしたら悪いからもう少し部屋は分けて欲しい"って言うとるわ」


千江さんが申し訳なさそうに嘉正くんを見る。嘉正くんは胸の前で両手を振った。


「俺は大丈夫です。来光が良くなる事が最優先なので」

「おおきになぁ。ほら、あんたらそんなとこ座っとらんと、居間でコタツ入っとき」


はーい、と返事をした私たちはぞろぞろと居間へ戻った。