昼過ぎまで社頭に建てられた簡易舞台の上で舞踊や舞楽、今様を明日の節分祭で奉納してくれる地元の人達のリハーサルが行われ、神職さま達はそちらに付きっきりなので裏方の準備は全て私たちで行った。
息つくま間もなくあちこちを駆け回り、やっと各所が落ち着いて「今のうちに昼ご飯食べといで」と志らくさんに促された頃には15時を回っていた。
皆して宿舎の居間へドタドタと雪崩こむと机の上にはラップされたオムライスとコンソメスープが置いてあった。
他の神職は誰もまだ手をつけていない。
「……なぁ、温める?」
「いや……俺このままでいいわ」
「俺も……もう一ミリも動きたくない」
私もこのままで、と苦笑いで返事をする。
ゲッソリした皆がズルズルと身体を引きずりながら席につき、手を合わせた。
一口食べてもぐもぐと咀嚼したみんなはスプーンを置くと「やっぱ温めよ」「俺も」「今は温かいご飯食べたいね」とお皿を持ち上げた。
ぞろぞろと台所へ向かうと、次々と電子レンジにお皿を突っ込む。私はお鍋を拝借して、みんなのコンソメスープを一気に温め直した。
疲れ果てた皆はその場にしゃがみ混むと深く息を吐く。
「節分祭って毎年こんな感じなのかよ? 俺二月嫌いになりそう」
げー、と舌を出して顔を顰めた慶賀くんに、嘉正くんが呆れ顔を浮かべる。